特定処遇改善加算について
今年の10月から新設される特定処遇改善加算について、平成31年2月13日の介護給付費分科会でおおまかな内容と算定ルール等が明示されたので記事にしたいと思います。
参考資料(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000478355.pdf)
介護職員処遇改善加算とは、平成21年度より創設され、これまで4回の法改正の中で月額平均5.7万円の処遇改善が行われてきました。しかし、介護職と他産業の平均年収を比較したときに、170万円程度格差があるというデータが出ています。
そこで、主にキャリアのある介護職員に対してベースアップを図り、介護職と他職種との賃金の差を縮めることを目的として、特定処遇改善加算が新設されることとなりました。
また、ベースアップする対象者と金額については、介護経験10年以上の介護福祉士を持っている方を対象に月額8万円の賃金改善を行うこととされていました。
投入される公費は約1,000億円で、31年10月の消費税率の変更に伴って財源が確保されることとされています。
※1,000億円の内訳としては、下記のとおりとなります。
約150万人(全国の常勤換算の介護職員見込み数)
×45%(介護職員に占める介護福祉士の割合)
×30%(介護福祉士のうち勤続年数10年以上の割合)
=約20万人×月額8万円×12ヶ月=1,920億
このうち、1,000億が公費で賄われ、残り半分は介護保険料や利用者の自己負担で賄われることとなります。
これらについて議論を重ねてきましたが、2月13日に大まかな算定ルール等が明示されました。
これまでの処遇改善加算に上乗せする形で、売上に加算率(事業種別によって異なる)をかけた額を加算額が支給され、支給された金額以上を介護職員の賃金改善に充てることになります。
各事業種別の加算率は画像のとおりです。
実際の加算額がどれくらいになるのかシミュレーションしていきます。※売上は概算
定員30名通所介護の場合→売上500万円×加算率1.2%=60,000
定員25名小規模多機能の場合→売上500万円×加算率1.5%=75,000
定員25名地域密着型特養の場合→売上500万円×加算率2.7%=135,000
グループホーム2ユニットの場合→売上500万円×加算率3.1%=155,000
利用者25名定期巡回の場合→売上500万円×加算率6.3%=315,000
この数字からわかるように事業種別によって加算額が大きくことなることと、また対象者が何名いるか、事業所の裁量で決められる支給方法によって一人あたりの賃金改善額が大きく異なる。場合によっては、一人あたり月額8万円を超える賃金改善を行う事業所もあればそうではない事業所も出てくることが考えられる。
更に、特定処遇改善加算Ⅰの算定要件として、サービス提供体制強化加算や特定事業所加算の算定が挙げられている。そのため、介護福祉士の割合の高く、加算をしっかりと算定してきた事業所とそうではない事業所の賃金格差がいっそう広がっていくことが考えられる。
今回の加算率や算定要件などに対して、世間では賛否両論あるようですが、個人としては、経験年数の長い介護職員がベースアップしていくことは、現に介護職員をしている方だけではなく、これから介護職を志す方にとっても良いことだと思います。